1994年にサッカーブラジル代表のロマーリオの父親が誘拐されるという事件が起こりました。
ワールドカップ直前の時期でありましたが、この事件を受けてロマーリオは堂々ひるむことなく
犯人に告ぐ、今すぐ父親を解放しろ!さもなければ俺はワールドカップに出ない!
とテレビで発言
身代金を要求する誘拐犯を逆に脅迫したのです。
するとブラジル国民が”ロマーリオがワールドカップでなかったらマジやばくね?”となり、国民総出で血眼になって犯人を捜す事態となり
結果わずか6日間のスピード解決に至りました。
この話は、いかにロマーリオが豪快な性格なのか!という事と、いかにブラジル人がW杯に熱狂的なのか!を表す仰天エピソードとして有名であります。
しかし私はこの事実に疑問を抱いておりました。
このエピソードって本当なのかな?
ロマーリオはこれまでにいくつもの名言や伝説を残してきました。
ペレは口にサンダルを入れてればいいと発言したことや、試合中に相手選手に右ストレートをかましたり等
それらは実際に映像や記録で残っており、私自身もこの目で確認しました。
しかしこのロマーリオのW杯出ない発言の原文の記事や動画は今まで見たことがありません。
これほどの仰天エピソードであればwikiにも書いてあってもいいような気もしますが。。。。
本人が実際にどのような表現で犯人に声明をだしたのか?翻訳家として気になるところです。
ロマーリオの父親が誘拐された事件は確かに発生しておりました。
確かに7日でスピード解決されております。ちょっとググれば見つかります。
しかしひょっとしたら
日本のメディアがちょっと盛っているんじゃないか?
という訳で調べてみました。
まず、グーグルのブラジル版にてポルトガル語で”ロマーリオ 父親 誘拐”などのワードでググって関連記事を読み漁りましたが、W杯出ないぞ発言は見つかりませんでした。
内容を読んでみると
Edvair氏は5月2日(月)の22時ころにVila da Penhaにあるバーを出たところ、拳銃をつきつけられ青い車に押し込められたそうです。
そして監禁場所に着くなり、手足を拘束され睡眠薬を飲まされました。
しかし初日こそ手足を縛られたものの、その後の監禁中はかなり丁寧に扱われたようで
ビール、タバコ、ジュース、米、ビーフ、チキンなんでもあったと。。。。。
そして息子が出るバルセロナVSレアルの試合を観たいと言ったらテレビを見ることも許されていたそうです。
なんかのんきだな。。。。
Edvair氏は後日に自分の身代金の額を聞いて、
7億円?自分にそんな値がつけられていただなんて知らなかったよ。英国のマーガレット・サッチャーでもそんな値段かからないよね
と語っていることも書かれています。ほんとのんきだなこのジイさん。
約一週間後、タレコミにより警察がEdvair氏の監禁場所を特定します。
リオデジャネイロのNova Iguaçu市、Antonieta通り20番にある家の中でロマーリオの父親は発見されました。
およそ200世帯が暮らす貧困地区だった模様
家は2つの部屋があり、中にはマットレスとテレビ、電源が入った扇風機のみがあったという。
3人の誘拐犯は逃走。警察は残された2人の女と1人の未成年を拘束
この女性と未成年は一般市民なのですが、道を歩いてたらたまたま誘拐犯に遭遇し、脅迫され無理やり事件に協力させられていたのだそうです。
ブラジル恐ろしいですね~
女性たちの証言によると、監禁中にEdvair氏は”息子が世界一になるのを見ることと、ここから生きて脱出することが自分の夢なのだ”と言っていたそうです。
とまあいろいろ書いてありますが、やはりロマーリオがW杯に出ないぞ発言についてはどこにも書かれていませんね。
もう少し見てみましょう
ロマーリオは父親解放のしらせをスペインのラジオ放送で初めてきき、この時バルセロナにあるチームメイトのストイチコフの家でラコルーニャの試合を観ていました。
知らせをきいてすぐに家族と連絡をとり、ブラジル行きのチケットを手配。
インタビューに対して
とても嬉しい、特に事件で苦しんだ母親を安心させることができてよかった。家族と共にに祝福したい
ワールドカップの決勝でゴールしたかのような気持ちだ
とか言っています。
そして父親の無事を確認するとロマーリオはその日のうちにスペインへ戻ります。
リーガエスパニョーラ最終節の為に出場する為です。
そしてこの記事の下の隅っこの方に、なにやら書いてあるのを見つけました↓
Prima de Romário, leu um bilhete de dona Lita, pedindo aos bandidos que libertassem seu marido. “Se isto não ocorrer, e capaz de os brasileiros não terem muitas felicidades nos jogos da Copa do mundo“, didzia o bilhete.
訳:リッタ夫人が犯人へ夫の解放を要求するメモを読んだ。”もしそれが起こらなければ(解放されなければ)ブラジル国民はワールドカップでたくさんの喜びを得られない可能性がある”とメモには書いてありました。
なるほど。ブラジル人がワールドカップで幸せになれないという表現を使ったのですね。
まあ確かに”父親を返してくれなきゃW杯に出ない”という意味ともとれますよね。
メモに書いてあった?手紙で犯人に伝えたのか?
ちなみに前後の分では、今回ロマーリオの家族みんなで協力しあって事件解決に動いていたという事が書かれております。
ロマーリオはスラム出身ですが、父親の居場所を突き止める為にそっち系の友人にまでコンタクトをとっていたようです。
という訳で今回わかった事は
・ロマーリオ自身がテレビで直接犯人へあてたメッセージではない
・ブラジルではその事実はあまりクローズアップされてない
・やっぱ日本のメディアは盛ってた
・ロマーリオの父親はのんき
という事です。
やはりこのエピソードは誇張されていたんですね!
コメント
自分もロマーリオが本当にそんな挑発的口調で言ったのか、言ったとしてどういうシチュエーションだったのかスッキリせず気になってました。
こちらの記事の内容はスッキリ入ってきました。